編集長見習い日記 その1

 

私は現在、櫛田先生の『サービスと労働力の生産』の校正をしている。創風社では、今まで、金子ハルオ著『サービス論研究』、齋藤重雄編著『現代サービス経済論』を出している。これらの本の中で、中心になっているテーマは、「サービス産業は何か」や「サービス産業は生産的労働か、不生産的労働か」などだ。その中で、私が一番関心があることは、この論争と、政治、経済との接点である。私は、経済学と政治、経済との接点を十分に理解しているとはいえない。しかし、経済学者は、経済や財政の諮問会議では学者としての見識を最も重要な立場で問われるといえる。創風社の本では、『現代アメリカ産業論』が、各章の執筆者が、大統領のアドバイザーや、役所の経済顧問となって、経済学と政治、経済の接点を最も確認できる内容となっている。
 話をサービス論に戻す。サービス論の第一人者に金子ハルオ氏がいる。金子ハルオ氏は、日本学術会議の元会員である。私としては、日本学術会議と政治、経済とのつながりを詳しく確認していきたい。そして齋藤氏、櫛田氏たちの論争と、金子氏の見識のつながり、学術会議と政治経済、そして国民生活のつながりなどを自分なりに少しでも詳しく確認したい。そのようなつながりを少しずつ実感していく中で、自分なりにこの出版物の価値をより強く実感できるのではないかと思いつつ、校正を進めている最中である。
 この本が、サービス論研究にたずさわる有識者、経済政策、財政政策等に関わる有識者のサービス経済に関する見識をより、適切なものにすることに、少しでも貢献できればと思います。ちなみに、サービス経済に関心をもつ学生向きの本としては、創風社の出版物の中では、齋藤重雄編著『現代サービス経済論』が適切だと思います。

2003年 8月24日 高橋 亮