編集長見習い日記34

『グローバリゼーションの哲学』についてなど 

  現在、『グローバリゼーションの哲学』のカバーを完成させ、原稿も校了段階にはいっているところです。今は先日著者が持参した「第九章 イデオロギーとしてのグローバリゼーション― “反グローバリゼーション”の論理と視点から」の原稿を校正をしている最中です。新自由主義的グローバリゼーションへの対抗・批判運動の現状とその論理について考察されている原稿ですが、特に「グローバリゼーションの「推進者」と新自由主義的知識人との物質的関係性」の節を大変興味深く感じながら、校正をすすめています。
 フランス政府が10日、26才未満を雇えば、理由を示さず解雇できる「新雇用制度」を撤回したの新聞記事を見ましたが、この反対運動のバックに、WSF(World Social Forum)という「新自由主義」批判グループがあると聞きます。その活動についても詳しく原稿で触れているので校正をすすめながら理解を深めたいと思っているところです。
 それにしても、若者の雇用問題は、日本においても極めて厳しい状況だという実感が強い。新聞や、TVで景気が回復したとか、失業率が改善したとよく聞くがあまり信用していません。
 失業率という数字。4.7%などといいますが、ハローワークに求職をしにくる人数で出されています。ハローワークに来ないで求職している人、フリーター、ニート、引きこもり、大学を出て職につかない家事手伝いなどをしている女性はこの数字には入らないと聞きます。
 私も数年前、某流通業に勤めていたが、5年以内に3人に2人辞めるような職場でした。数字の上(成長率)で会社が伸びていると判断しましたが、それは1.5人分の労働を1人にさせていたからだせた数字でした。
 業績が好調で、毎年200人くらい採用している会社でも、実は社員の平均勤続年数が2年9ヶ月、社員定着率20%などの実態もあります。通常、あまり表にでてこない企業情報もかぎとる力がなければ、若者の雇用状況の厳しさを判断できません。
 景気回復といっても、株が上昇している側面のみで判断し、売上がどれだけ上がったのかが基準となっていません。若者の雇用状況に対する数字の判断は、いろんな角度から検討しなくてはならないと感じています。その他に、障害者の自立支援法も、シャッター商店街が増えていることも、環境問題など、身近な様々な問題が、経済のグローバリゼーションの影響と強い関係があると感じます。
 そんなことを、思いおこし、整理しながら、この本のカバーをつくったり、原稿を読み進めたりしてました。
 先日、ライト・ミルズ『パワーエリート』にも目を通したので、自分なりに、制度と思想と、利益集団(企業)の関係性などにも、強い注意を払いながら、引き続き精読、校正、刊行準備にとりかかっているところです。





06年4月11日

06年10月21日一部修正