見る者も救う?草間の世界

 草間彌生(1929一)の発表が続いている。東京都現代美術館での大きな回顧展「草間彌生ニューヨーク/東京(7月4日まで)のほかに、「わたしは何処(どこ)」という副題を持つ個展が重なっている。この方は、マネキンの体中にマカロニの切断片を張りつけ、銀色のスプレーを施した「マカロニ・ガール」など近作中心に86点。もちろん、ドット(水玉)やネット(網目)などを画面全体にかきこんだ絵画や、男根様のクッションをつけた小立体があふれ、いかにも草間の世界だ。しかし、セラミックに銅色の吹き付けをした「自画像」などのように新しい試みも見られる。それにしても鮮やかにして不思議な宇宙である。単純なものの繰り返しが生む複雑。作者にとっては、性や食物というオブセッション(強迫観念)から逃れる自己救済の手だてでもあったこの「反復」の「集積」が、見る者をも救うのか。鑑賞者には20歳前後の女性が多いという。「何も頼れない時代に草間の生き方や存在自体にあこがれがあるのではないか」とは画廊主の洞察。(朝日新聞1999年6月18日) 

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《ドレッシングテーブル》