親からの質問

東京女子医大堀智勝先生

おはようございます。
■■県のIです。
先日はKをご診察頂き誠にありがとうございました。
さっそく、■■のリハビリの先生にもご報告したところ
関心をお持ちいただき、ご質問を預かりました。
また、私たち夫婦も手術についてもっと知りたいと思い、
創風杜の千田様や手術を受けられた方のお話しをおきき
したり、堀先生のレポートを何度も読んでみました。
本日はそのような中で手術についておききしたいことを
以下のとおりまとめてみました。
ご多忙の折、誠に恐縮ですが、ご返事いただければ
たいへん有り難く存じます。
何卒、よろしくお願い申し上げます。

質問1(リハビリの先生からです)
 ひとつのニューロンが支配する筋線維数が失われないか?

質問2
 術後のリハビリが重要という点から、術後2-3ヶ月の入院
 もしくは1日4-5時間のリハビリが必要とのことですが
 東京女子医大ではそのようなリハビリ入院が可能でしょうか?

質問3 手術の効果は永続的なものなのでしょうか?
 
質問4 排尿障害を防ぐ陰部固定の手術は同時におこなわれるのでしょうか?

質問5 脊推変形と感覚障害を引き起こす可能性はあるのでしょうか

質問6 術後、下半身がダランとした状態が2-3ヶ月続くとおききしたのですが
 その件について正常な状態に必ず戻るのでしょうか?
 リハビリが失敗したらそのまま戻らないこと等おこりうるのでしょうか?
 詳しくおききしたいのですが…

質問7 選択的後根切除術は麻痺の状態によって効果がおおきく異なるとおききしたのですが
 私どもの次男にこの手術は有効とお考えいただけるのでしょうか?
 もし有効ξお考えいただけるのであれぱその根拠を再度おききしたく存じます。

以上、素人の質問ばかりで申し訳ございません。
メールでもお電話でも結構です。何卒よろしくお願い申し上げます。


〈堀からの返事〉

I様
ご質問にすべて明快な答えをするには時間が必要です。
私は20日より27日までトロントに学会で行きますので、帰ってからご返事します。
しかし、基本的に貴方の質問の内容に関しては、下記に記載したものが原則です。


質問1(リハビリの先生からです)
〉ひとつのニューロンが支配する筋線維数が失われないか?

運動線維をきづ付けるわけではないので心配ない。
>
質問2
術後のリハビリが重要という点から、術後2-3ヶ月の入院
〉もしくは1日4-5時間のリハビリが必要とのことですが
〉東京女子医大ではそのようなリハビリ入院が可能でしょうか?

リハビリは必要ですが、女子医大では2週間ぐらいで退院です。その後はお近くのリハビリ施設でするのが最適と思います。

〉〉質問3〉手術の効果は永続的なものなのでしょうか?

悪循環を絶ち着るわけですので、ずっと効果はあります。

〉〉質問4〉排尿障害を防ぐ陰部固定の手術は同時におこなわれるのでしょうか?

排尿障害は基本的に術前より悪化することはありません。S2に関しては膀胱内圧をモニターして危険があれぱ後根といえども切除しません。膀胱直腸障害はS2;3;4で起こります。我々の手術はLl-Slまでが基本ですが、場合によってはS2も含めるということです。

〉〉質問5〉脊推変形と感覚障害を引き起こす可能性はあるのでしょうか?

感覚障害はほとんど間題になりません。脊椎変形もおきないよろなlaminoplastyを行います。

>〉質問6〉術後、下半身がダランとした状態が2-3ヶ月続くとおききしたのですが
〉その件について正常な状態に必ず戻るのでしょうか?
〉リハビリが失敗したらそのまま戻らないこと等おこりうるのでしょうか?
〉詳しくおききしたいのですが…

だらんとした状態とはどういう状態か不明ですが、痙縮をおこしていた筋肉群がそれが取れるのですが、基本的に筋肉を切るわけでも運動神経を切るわけでもないので、運動機能がむしろ良くなることを目標にした手術です。リハビリが失敗する事はありません。

〉〉質問7〉、選択的後根切除術は麻痺の状態によって効果がおおきく異なるとおききしたのですが
>私どもの次男にこの手術は有効とお考えいただけるのでしょうか?
〉もし有効ξお考えいただけるのであれぱその根拠を再度おききしたく存じます。

進行性に痙縮が両下肢にあり、はさみ足傾向にあるのであれぱ、当然痙縮を直さなけれぱ歩行訓練が進まないわけでしょう。
従ってリハビリを効果的に行う目的でこの治療を考えています。日本のリハビリの先生はこの件について、ほとんど経験がありません。韓国でもすでに100以上手術を行っている先生がおられます。問題になるとしたら、進行性の痙縮に対してこの手術が良いのか、髄腔内バクロフェン注入が良いのか使い分けでしょう。
この点に関しては今度の学会中にデトロイトに髄腔内バクロフェン注入手術を見て参ります。
最後に私が考えていることは、苦しんでいるヒトに少しでも先進の医療を提供できればという事です。

〉以上、素人の質問ばかりで中し訳ございません。
〉メールでもお電話でも結構です。何卒よろしくお願い申し上げます。

〈後日のメール〉

東京女子医大堀先生
おはようございます。
■■県のIでございます。
先日はメールのご返信賜り、誠にありがとうございました。
その後も後根切除術をもっと勉強しようと苦心して参りましたが、
九州の松尾先生のホームページヘのご反論(平先生)を
■■■ご紹介いただき、後根切除術を希望している私どもには
たいへん心強いものとなりました。
■月に先生にご診察いただいてからは2ヶ月が経過しましたが、
やはりKには堀先生にご執刀いただきたいと切に願っております。
つきましては■■■■■■■■■■■■■■にご診察いただき
たいと考えておりますが、先生のご部合はいかがでしょうか。
ご返事、ちょうだいしたくよろしくお願い申し上げます。
以上

〈堀の返信〉

■■日いずれでもよろしいです。
さて、先日韓国の機能外科学会でこの手術を761例も行ってきたアメリカのPark先生のお話を伺い、大変心強く思いました。痙縮性対麻痺 (下肢)が最も良い適応で、2-7歳までが最も良いようです。
S2の安全な神経だけを切りますが、S3-5までは手を付けません。従って膀胱直腸障害は殆ど心配なく、また感覚障害も殆ど心配ありません。なぜなら感覚神経は各根がそれぞれoverlapして支配していることと、運動神経にも感覚神経があり、幼少時の神経の可塑性などがその理由です。

(2001年7月30日更新)