既刊案内 (2009年11月24発売)2011/1/13 本書未収録曲楽譜を一部UPしました。

森 澤 郁 夫(国立音楽大学器楽科卒、ジャズ・ハーモニカプレーヤー) 監修

子どものための歌
――弘 田 龍 太 郎 作品集――

B5判並製 CDROM付き(約100曲収録 MP3対応) 224頁 本体 2400円

発売中

 敏感な感受性を持つ子どもたちは幼児期から美しい音楽に触れることが重要です。よい作品を数多く歌うことで子どもたちの情操や生活が豊かになります。『赤い鳥』の時代に始まり時代を超えて歌いつがれる弘田龍太郎の作品を多数収録。安芸市出身のジャズ・ミュージシャン,森澤郁夫が現場の保育士などの協力を得て編集する。
 収録曲100曲,デモ音源(CD)付。

刊行に寄せて


 創風社では幼児教育の教材として,『ホップ・ステップ・ジャンプくん』,斎藤公子編『わらしべ王子』,『つばめがはこんだ南のたね』(丸山亜季作曲)などの絵本を発行してきましたが,これらの絵本には歌も含まれていて幼児教育の中の音楽教育の教材として活用されてきました。また,保育実践の中では,ダルクローズ,小林宗作らのリトミックの影響をうけた,リズム運動でも音楽が中心的役割を果たしてきました。弘田龍太郎の曲はリズム運動にも使われてきました。そしてまた,押韻定型詩の詩誌の発行にも携わるなかで,詩と音楽は深い結びつきがあることも知り,現代は良質な童謡がつくり出されることが少なく,良質な童謡は大正デモクラシー期の『赤い鳥』を中心としてつくり出された童謡が現代でも中心をなしているとの話も聞いてきました。

 また,創風社の幼児教育として児童美術では,『子どもの絵は心』『子どもカレンダー』などを発行してきていますが,子どもの絵は生活と密接に関わっているということを学んできました。弘田龍太郎は大正デモクラシー期,赤い鳥運動ですぐれた作品を数多く残していますが,その運動で目指していたことは,子どもの目線に立って作品を通じて,子どもの生活を豊かにするということでした。その視点は美術教育で目指していることと共通するものでした。

 競争社会・教育が進む中で,教育と子どもの生活の関連に十分に目が向けられなくなる傾向がある。大正デモクラシー期の赤い鳥運動に見られる子どもの目線にたった作品をもう一度見つめなおすことは,現代において意義が大きいと思われます。そこで,現場の保育者や弘田龍太郎と同郷のジャズ・ミュージシャンである森澤郁夫の協力を得て,その時代の代表的作曲家である弘田龍太郎の作品を再度見つめなおすことに価値を感じ,楽譜集の刊行をすることになりました。


                              創風社 編集長 高橋 亮


監修者より


 私は,ジャズ・ハーモニカの演奏をしています。

 2008年夏,故郷,高知県安芸市の市民音楽祭に招かれました。その際,県にゆかりのある曲を演奏したいと思い,弘田龍太郎の「叱られて」を取り上げることにしました。

 演奏の準備をしながら「叱られて」のような,今でも歌い継がれている曲は,メロディーが大きい(ひと息で歌うフレーズが長い)ことをあらためて感じました。大きいメロディーには大きい音符、ロングトーンが使われていることが多く,編曲,特にリハーモナイズ(オリジナルの譜面を元に和音を新たにつけ直す)しやすいものが少なくありません。これは,演奏次第でいつの時代でも新鮮に聴くことができることを意味します。反対に細かいメロディーの場合は,フレーズが(和音の)説明になっている場合があり,リハーモナイズが難しくなります。

 また,「叱られて」 は物悲しい歌詞ですが,曲はゆったりとした速度が選ばれ,長調で作曲されています。こうしたところにも弘田龍太郎の柔らかな感性を感じることができます。

 

 本書は,子どもが歌いやすい小品を中心に,代表曲を含む103曲をまとめたものです。附録のCDにはオリジナル・ピアノ譜によるピアノ演奏を収録しています(MP3)。コンピューター、またはMP3対応オーディオで再生できますので参考にしてみてください。


                              2009.10.31 森 澤 郁 夫

紹介:

○弘田龍太郎(1892〜1952年)
 作曲家。
1892年(明治25年)6月30日高知県安芸市に生まれる。
1910年(明治43年)東京音楽学校(現東京芸術大学)器学部ピアノ
    科に入学。唱歌「鯉のぼり」は弘田の在学中の作品と言われ
    ている。
1918年(大正7年)『赤い鳥』創刊をきっかけとした童謡運動に
    北原白秋らとともに参加、多くの童謡を作曲した。
    戦後は長女・妙子とその夫である復生に幼稚園設立を勧め、ゆ
    かり文化幼稚園創立時には初代園長に就任。
1952年(昭和27年)11月17日没
    代表作(作曲):「靴が鳴る」「叱られて」「浜千鳥」「千曲
    川旅情のうた」他。

1. お月さんいくつ
2. お山のお猿
3. 金魚の昼寝
4. 靴が鳴る
5. 仔馬の道ぐさ
6. 子どもの村
7. 仔山羊の鈴
8. 雀の学校
9. キューピーさん
10. こまねずみ
11. コスモス
12. たんぽぽ
13. デッキの運動会 
14. ほうほう蛍
15. 鳥の巣
16. うちの燕
17. 金の葉っぱ
18. 椿のお家
19. 夕べの星
20. 低山小山
21. 蕗のとう
22. ののさま
23. 舌切雀
24. 落葉の踊り
25. 歌祭り
26. みかんのお国
27. たぬきのおすもう
28. 
サンタ・クロス
29. こんこん小山の
30. あひるの小屋
31. 波の鬼ごっこ
32. ぞうさんのとおめがね
33. お鶏のご馳走
34. しゃぼんだま
35. よばなし
36. 泣きたぬき
37. 月よのがん
38. 里ごころ
39. 森にある木
40. 冬
41. ねぎ坊主
42. 子守歌
43. 凧
44. あした
45. うさうさ兎
46. お花を受けて
47. お山へ登ろ
48. とおせんぼ
49. かえるとおへそ



55. 
春よ来い





97. 
町のばんかた

99. 
野薔薇の歌



 他全103曲

立読みのページ p86,116

かなかな蝉(本書未収録作品 安芸市民俗資料館所蔵)(11/1/13更新)

牧人の歌

樹の間の舞

『叱られて』の歌碑(高知県安芸市土居地区)

本の検索