堀智勝(第16回日本脳神経外科コングレス会長・東京女子医大教授)編集ビデオてんかん外科全3巻(6本)一ここまで来た最新の進歩一

 日本では120万人のてんかん患者がいますが、そのうち難治性てんかんは成人で25%、小児で13%、全体で17%(20万人)です。また年間8-9万人の患者が日本で発生しますがその17%があらたにこの中に加わります。難治性てんかんの外科適応がこの25%としても5万人あまりの患者が手術適応がありますが、日本で今行われている手術件数は300件程度です。アメリカでも10万人の患者が手術を待っていますが、毎年1500件程度の手術が行われているに過きず、今より3倍の手術件数があっても毎年増加する外科患者に対応するのみです。一方・てんかんの外科治療成績に関して疑問視する方々も末だ少なくないようです。しかし最近、モントリオールのオリビエ教授は側腹案てんかん患者の94%が外科手術をしてよかったと言っていると報告しております。記憶力に関しても一選択的扁桃体海馬切除術では、94%の患者が手術前に比べて改善あるいは不変と解答しています。このように外科手術は安全で効果の高いてんかん治療法です。最近、母親が薬剤治療に限界を感じて、子供さんに一日数十回の発作があっても薬剤を殆ど服用させていない、皮質形成異常の小児てんかん患者さんにお目にかかりました。外科治療で発作がコントロールされることをもっと多くの患者さんやその家族、医療関係者に知っていただきたいと思います。少々長いビデオですが、現在の最先端の治療が網羅されております。文字どおり日進月歩のてんかん外科について知っていただくために、是非このビデオと本を少しでも多くの人にご覧いただきたいと思います。(堀智勝)

内 容

第1巻(上下)てんかんの分類・検査

小児てんかん:新しい展望(40分)大田原俊輔教授

発作の分類とてんかん病変の概念(40分)リュウダース教授

脳機能地図作成(40分)バーガー教授

てんかん患者の大脳皮質のマッピング(40分)リュウダース教授

第2巻(上下)てんかん外科

側頭葉てんかんの外科治療(40分)オリビエ教授

扁桃体海馬切除術(30分)サンドゥ教授

迷走神経刺激療法(20分)朝倉哲彦教授

脳梁離断術(30分)マリーノ教授

機能的半球切除術(30分)コメア先生

第3巻(上下)てんかんの病理・神経心理学

側頭葉てんかんの海馬における組織化学(40分)植村秀治先生

てんかんの病理(60分)平野朝雄教授

てんかん外科と神経心理学(40分)杉下守弘教授

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