新年にあたって

新年おめでとうございます。

2009年の創風社の新刊発行は次の11点になります。
高野範城著
『社会保障立法と司法の役割』
植田浩史・立見淳哉編著
『地域産業政策と自治体』
奥村皓一他著
『21世紀世界石油市場と中国インパクト』
富田満夫著
『皮部療法』
高野範城
『高齢者の生活の安定と法知識』
塩沢君夫著
『歴史発展の法則』
荒川繁著
『資本蓄積と労働者階級の運命』
『小熊秀雄━絵と詩と画論』
『子どものための歌―― 弘田龍太郎(CD付)』
伊藤芳久・石毛久美子著
『わかりやすい薬理学 第3版』
2010年版 
子どもカレンダー

 年間20点の新刊目標にはなかなか届きませんが,出版界にも不況の波がおしよせている中での11点はまずまずかなと思っています。
 2010年は創風社の創立25周年になります。25年間の出版をとりまく変化は,創風社の出版内容にも大きな変化をもたらしました。
 製作・編集面での変化………創立した1986年当時はまだ活版印刷も可能で,電算写植→オフセット印刷との共存時代でした。活版印刷は1000〜2000部の専門書の出版には向いていて,500部の増刷もオフセットよりは割安だったので,ほとんど活版印刷で本をつくっていました。しかし,1990年を過ぎると印刷所の活版は縮小されていって,割高な電算写植→オフセットへ印刷の世界が移行を始めたので,1000から2000部の本は出しにくくなり,この先どうなるかと思っていましたらワープロ・パソコンの普及で印刷のIT化がすすみ,著者がパソコンでつくったデータ(活版の植字)を出版社のパソコンで校了(組版→校正→校了)まで作業ができ,印刷所は純粋に印刷・製本を担当するという新しい時代がはじまりました。このことによって,1000部〜2000部の専門書出版のコストの約半分が,出版社に内製化されることになり,出版界は全体の売り上げ減少にもかかわらず,出版点数を増加させ,専門書の出版も活性化してきたわけです。当然この変化は若いスタッフが参加しなければできないことで,創風社にも新しい若いスタッフ中心の製作にきりかえてやってきました。

流通面での変化 ……… 創立した1986年当時は500坪あれば大型書店で,その大型書店と大学生協が流通の中心でした。25年たった今は,1000坪以上の大型書店が全国に次々と開店し,特に1000〜2000坪のジュンク堂書店の全国展開は,創風社の本を全国に並べる上ではきわめて有利でした。これはバブル崩壊によって,土地代,家賃等が本を売っても採算に合うまで下がってきたということで可能になったようです。また,アマゾン(ネット書店)の拡大も専門書を売る上では有利でした。1000〜2000坪の大型書店の増加,ネット書店の拡大は専門書出版を流通面で支えてきたように思います。創風社の本がよく売れるところは,ジュンク堂池袋,八重洲ブックセンター,丸善丸の内本店,高島屋の紀伊国屋南店,ジュンク堂新宿,アマゾンなどです。その反対に大学生協の専門書販売は落ち込む一方です。
 こういう出版をとりまく状況の変化にこの10年間対応して経営してこれたのは若いスタッフに製作面の中心をになってもらえたのでできたことと思います。私はまだITオンチでほとんど対応できていません。

内容面の変化………IT化によって有利な出版物,不利な出版物といろいろありますが,小部数の出版をITによって維持可能な状況をつくってきたことは大きなことだったと思います。倉庫も整備してコストを低くおさえましたので,今まで以上に長期間にわたって価値をもち,時代をきりひらく出版物を1点でも多く出版したいという当初の目標を再確認しているところです。

2010年の出版物は次のものを予定しています。
小川雅人著
『地域小売業再生とまちづくり』
上原征彦・東伸一著
『文化創造のマーケティング』
柴田信也編『新・政治経済学の原理と展開』
光武幸著
『ウェルネス・ツーリズム』
川崎満孝著
『道Kawasaki 心の旅』
準二著
『教師の発達と力量形成』
2011年版 子どもカレンダー
伊藤芳久・石毛久美子著『わかりやすい薬理学 第4版』 
The Real Book Blues Harmonica 4,5

                   創風社社長 千田 顕史


 創風社に入って11年がたちます。千田が上述したような出版界の変化の中でDTP製作,物流,編集,WEB製作,編集,経営者の見習いなどさまざまな業務をしてきました。IT技術の活用も進み,英語の医学書,漫画の復刻,経済学の事典,そして今年はピアノ伴奏の付録のついた童謡集も刊行できました。メディアが多様化してきた時代に出版社としてどのように存続,発展をするか試行錯誤してきた11年間でした。09年には編集長になり,本の完成に責任を持つ立場になりました。
 千田社長等のサポートを受けながらなんとか11点刊行にこぎつけた1年でした。そして,内容に関してはアカデミズムを中心とした(現状分析も含む)言論,思想の自由の場を場をつくるというスタンスで例年通り出版活動を進めることができました。IT技術を活用して,詩画集,や音楽の仕事も充実させることができました。
 2010年は,様々な現代的課題に対して内容的,実務的に向き合った出版活動を進めたい。金融資本主義経済が破綻し,経済のグローバル化がもたらすデフレーション,そういう時代背景の中での中小企業の倒産,非正規雇用の増加,若者の就職難,そして「障害者自立支援法」にみられる福祉の切捨て。農林水産業の衰退,過疎化の問題,地域小売業等,地域経済の問題。様々な現代的課題に対してどう出版人として向き合うのか。そして過酷な現代社会を生き抜くための健康,それをどう維持していくのか。そのような課題もあります。
 本年度もアカデミズム(現状分析も含む)を中心とした出版活動をすすめつつ,厳しい時代状況を生きる人々の現代的課題に一層貢献できるような本を一点でも多く出していきたい。そう考えています。
 本年度もよろしくお願いします。

                    創風社編集長 高橋 亮