新刊案内 (2017年12月9日更新、12月12日発売)

 島崎隆(一橋大学)編

《オ-ストリア哲学》の独自性と哲学者群像

――ドイツ哲学との対立から融合へ――

A5判並製216頁 本体2000円

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 本書は,旧著『ウィーン発の哲学』(未來社,2004年)の続編である。旧著の展開を踏まえて,それをより豊かに,個別の哲学者に即して詳細に展開した。全体的構想やオーストリアの歴史的・文化的などの幅広い背景については,旧著のほうが詳しいので,是非そちらをご参照いただきたい。さて以下に,本書の目的意識を四点簡潔に述べたい。詳細は以下の本文でも明らかになるだろう。
 第1はオーストリアの哲学や思想(以下簡潔に,《オーストリア哲学》と表現する)の独自性を,いわゆるドイツ哲学と区別して展開することである。同じドイツ語圏であるということで,《オーストリア哲学》は何となくドイツ哲学と一体化されて論じられてきた。反省すると,ウィーンでの研究滞在前の自分がかつてはそうであった。あたかも《オーストリア哲学》などは無きがごとしであったのが事実である。もっとも,オーストリア本国では,ルドルフ・ハラーを始め,《オーストリア哲学》の独自性の研究は存在するし,その翻訳もあるが,日本の哲学界がそれを正当に理解し,受容しようとしない状況である……(本書「まえがき」より)。

(主要目次)

 第1章 《オーストリア哲学》の独自性と19世紀転換期(世紀末状況)
 第2章 フリッツ・マウトナーと《言語論的転回》の開始
 第3章 エルンスト・マッハの哲学とレーニンの批判
 第4章 フェルディナント・エーブナーにおける信仰のことばと形而上学批判
      ――時代の病理に抗して

 第5章 マルチン・フーバーの《対話の社会主義》
 第6章 ウィトゲンシュタインはヘーゲル、マルクス、禅と融合可能か
 第7章 新ヘーゲル主義の登場とポスト分析哲学―対立から融合へ―
 第8章 アルフレート・アドラーの心理学の流行と現代
 補 論 プロレタリアートと宗教(オットー・バウアー)

 

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