編集長見習い日記24

『芳賀たかし漫画傑作集』のIT活用について 

 先程芳賀たかし漫画傑作集 愉快な子熊・坊やの密林征服』の 校了チェックをしたゲラを渡したところです。2色のカラーデータでしたが、予想よりもよく仕上がりました。先週の連休は倉庫の整理をしに祖父母が以前住んでいた田舎にいきました。その帰りに、叔母の家の近くのアパートに住んでいる祖母を訪ねました。祖母は芳賀たかしの妹です。私は『愉快な子熊』の校正用ゲラと、コンピュータに入っている原本の写真をみせました。その時、芳賀たかしの思い出を語ってくれました。本の奥付にハンコを押す作業などを当時手伝っていたことなど話してくれました。先週末には、『坊やの密林征服』の校正チェックも順調に進み、数ページの濃度調整をすれば、校了という段階になりました。

 今回の『芳賀たかし漫画傑作集』ではIT技術が大きな役割を果たしました。そこで、どのような機械(ソフトウェア)を使い、どのような技術を使い、どのようなものができたのか少し整理してみたいと思います。
 印刷はC(シアン),M(マゼンダ),Y(イエロー),K(ブラック)の4版をかけあわせて、色をだします。今回は2色でしたので、写真をフォトショップ上でC,M,Y,Kの4版に分解したものをC,Mの2色の版に分けました。色を原物に近い形に調整するため、『愉快な子熊』に関しては、Cに黒を乗算(かけあわせ)をしました。自動レベル補正、自動コントラストの機能を使い色や濃淡を調整しました。また、手動の明るさ、コントラストの調整機能も使い、シャープネスで画像の輪郭を鋭くし、コマ1つ1つをトリミング(切除し整理する)しました。そして、撮影時に生じたコマの傾きを一つ一つ、修正する作業も行いました。
 漫画の吹きだしの中は打ち直しましたが、文字部分を切り抜き、白い部分を自動選択ツールで枠の中だけ選択し、白く中を塗りつぶしました。クォークというソフトウェアで0.5ptの罫のある背景が透明のボックスをつくり、その中に太ミンのフォントで文字を打ち込みました。トラッキングやカーニング(行間や字間の調整機能)も使い吹きだしの中の文字も読みやすくするよう配慮したつもりです。
それらの作業をマンガのコマ1つ1つに行いました。(400枚以上)

今回の写真の作業は、手動作業も多く含まれていたため、作業量が大変多くなりました。フォトショップでは一連の様々な作業行程をコンピュータに記憶させ、全て自動処理をする機能(アクション機能)もあります。10なら、10の一連の作業行程を記憶させ、例えば、200枚の写真にすべてその作業を適応する。それを全て自動で処理することができるのです。私はまだ、充分にはこのアクション機能を使いこなすことができませんが、あらかじめ、自動でできる作業と手動でする作業を整理して、この機能を使いこなせれば、もう少しスムーズに仕事を進めることができるはずです。今後はこのような技術の修得と、作業計画をもっと工夫していきたい。そんなことを考えながら製作作業を進めていました。

 私が始めて、DTP(パソコンで組版をすること)の作業に携わったのは富田満夫著『中高年女性におくるQ&A腰痛の治し方』でした。そのころは図表1つつくるのに1時間半くらいかかっていました。今なら同じ図表は15分でつくることが可能です。創風社ではDTPの仕組みを使って約80点ほど出版し、印刷コストの削減に成功してきました。今回はデジカメによる写真撮影から、カバーデザイン、製作、DTP作業の約6割まで、私が行いました。

 専門的、技術的な話になりましたが、IT技術の進歩の力もかりて、約65年前の漫画を読みやすい形で復活させることができつつあります。

 松本零士、日高敏編『子ども漫画大博物館』(小学館)の発行にあたって、日高氏が創風社に芳賀たかしのことを調べに来たことをきっかけに昨年夏頃から、私は国際子ども図書館、三康図書館、都立多摩図書館に芳賀たかしの作品を読みにいきました。都立多摩図書館での『愉快な子熊』の写真撮影では社長の千田の力も貸りました。そして今、芳賀たかしの傑作漫画が息を吹きかえしつつあります。この漫画が子どもたちや、現代の漫画文化に少しでもいい影響をあたえる力になればと期待をしています。 芳賀たかしの出身地の宮城県石巻市でも、普及活動に力を入れていきたい。そんなことを考えながら発行の準備を進めているところです。

     

05年2月21日