新刊案内(2007年12月25発売)

高野 範城(弁護士)著

 障害者の自立法制の問題点と今後の課題

―― 地域社会で暮らすために ――

46判並製 168ページ 本体1000円

発売中 

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  障害者の自立,特に知的障害者の自立をめぐる問題は憲法13条の幸福追求権と憲法14条の平等や憲法25条の最低生活を国や自治体が公的責任と公的費用負担にもとづいて,どう実現していくかということでもあります。そして,地域社会の人々が障害者の人々とどう共存,連帯していくかということです。まさに社会保障の本質に関わる問題が障害者の自立と地域社会で生活する権利をめぐる問題です。障害者本人の能力――教育,就労,家庭や社会生活を含む――を根気強く,如何に社会全体で育て支えていくか,その期待に本人及び家族がどう応えて,その能力を開花させていくかが問われているテーマでもあります。本書は障害者が地域社会で安心して過ごすための法と財政の制度がどうしたら確立するか,そのために国や自治体に対し,本人及び親の会の人々は何をどう要求すべきかを人権の視点から明らかにしています。その意味で,本書は親の会の人々に「権利のための闘争」に立ち上がるよう勧めています。障害者の人権確立のために立ち上がってきた人々の実践を踏まえた内容を反映しており,自立と地域での生活を考えている人に少しでもお役に立てばと思います。

はじめに
1 何がどう問題なのか
 (1) 私と社会保障との関わり
 (2) 自己決定権と社会連帯
2 人権の歴史と障害者の人権
 (1) 人権の歴史
 (2) 日本における人権の未成熟
 (3) 障害者福祉と自立法制
3 権利は与えられるものではなく,獲ちとるもの
 (1) 戦後日本の社会保障の権利をめぐる歴史
 (2) 障害者の権利の進展
 (3) 裁判を通じての法改正
4 地域で暮らす権利の現状と問題点
 (1) 日弁連の提言
 (2) 施設の有益性と功罪
 (3) これまでどんな事件や裁判があったか
 (4) 社会福祉基礎構造改革と契約論
 (5) 社会福祉立法と財政
5 地域で安心して暮らす権利の確立のためには
 (1) 教育の充実について
 (2) 自己防禦の必要性
 (3) 障害者基本法の改正を
 (4) 就労・所得保障の重要性
 (5) 地域で生活する権利の実現を
6 今後の課題と展望 ――まとめに代えて――
 (1) 何をどうしたらよいのか
 (2) アメリカの経験の意味
 (3) 自立の法の必要性
 (4) 最後に

資料

1 高齢者・障がいのある人の地域で暮らす権利の確立された
 地域社会の実現を求める決議[日本弁護士連合会]
2 障害のある人に対する差別を禁止する法律の制定を求める宣
 言[日本弁護士連合会]
3 障害者自立支援法に対する付帯決議(参議院厚生労働委員会)
4 戦後の主な障害者立法の流れ
5 国連の障害者の権利宣言
6 国際障害者年
7 障害者基本法
8 国連の知的障害者の権利宣言
9 国連の障害者の権利に関する条約
10 障害者に関する主な裁判

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