新刊案内(2008年3月4日発売)

野本一平(北米毎日新聞顧問[ジャーナリスト])著

 八 島 太 郎

――日米のはざまに生きた画家――

248頁 カラー口絵4ページ 本体 1800円

発売中

産経新聞羅府新報(08/6/19)南日本新聞こどもとしょかんに紹介!!

南日本新聞(08/7/30)に広告掲載、羅府新報(08/7/24)

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 振幅の大きい,波乱に満ちた生涯,というものの例は,私たちの周囲に,いくつか見出すことができる。
 八島太郎の一生も,単的にいえばそれに当ろう。しかし彼の場合は舞台が日本とアメリカにまたがった。そして,太平洋戦争をはさんで,戦前,戦中,戦後と,全く価値観の違う世界に生きた。それも受け身の形ではなく。明治の末年,鹿児島県の小村に出生し,長じて東京美術学校(今の東京芸大)に学んだが,折からの軍国主義ファシズムに抵抗して,プロレタリア芸術運動に身を投じた。いく度かの官憲の捕捉をのがれ,ついにアメリカに亡命する。しかし間もなく,日米戦争の渦中にまきこまれる。
 その間,アメリカ政府の戦略要員として登用され,戦場の日本兵士に,銃を棄てよと呼びかける。そのかたわら,日本人にも平和主義者のいることを,著述を通して知らせることにつとめた。
 終戦後,南カリフォルニアに居を移し,絵画研究所をおこし,後進の指導をしつつ,児童絵本の制作に立ち向う。トピックの背景は,つねに日本であり,素朴なふるさとの物語を普遍化し,アメリカの幼い読者にメッセージを発信しつづけた。
 その「人間愛」に裏打ちされた彼の絵本は好評を得て,八島は絵本作家としての地位を確立する。
 彼の天分は児童絵本にとどまらず,油彩,舞台装置,書,俳句の世界にまで発揮され,そのカリスマ的性格は,彼を慕う多くの人々を魅了した。・・・・・(「梗 概」より)在米日本人ジャーナリスト,野本一平による八島太郎の自伝的評伝を刊行!

目 次
1. はじめに
2.父と母
3.ふるさと
4.はらから
5.画家への道
6.. プロレタリア美術(一)
7.プロレタリア美術(二)
8.小林多喜二
9.八島 光
10.伊佐千尋
11.マコ
12.転向
13.再起
14.アメリカ移住
15.太平洋戦争
16.「あたらしい太陽」
17.OSS時代
18.絵本作家(一)
19.絵本作家 (二)
20.自由律俳句
21.病臥前後
22.萎躯
23.終焉
24.ひとこと・八島太郎
25.ながいあとがき

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