新年にあたって
2011年の新刊は次のようになります。
奥村皓一・久保新一他編『海外進出企業の経営現地化と地域経済再編』
柴田信也編著『政治経済学の再生』
漆 原 綏『価値・生産価格・地代』
藤井洋次『東アジアにおける製造業の発展と構造変化』
小林一穂『イデオロギー批判の視角』
大森享『地域と結ぶ学校環境教育』
森澤郁夫監修『The Real Book Blues-Harmonica IV (ブルース)』
高野範城『介護・保育などの事故と家族の悲しみと怒り,行政・法人の責任と役割』
伊藤芳久・石毛久美子『わかりやすい薬理学』第5版
創風社編集部編『震災の石巻―そこから』
2012年版こどもカレンダー
もう4〜5点は出版の予定でしたが,以上の11点どまりでした。2011年は3.11の大地震,大津波,原発事故によって,なぜこんなに被害が大きくなったのか,これからそれをどう解決していくのか,このことを究明していくことが大きな課題となりました。2012年にもこの課題が大きなテーマです。創風社の出版する本は固い理論書が多いのですが,2011年は緊急に『震災の石巻―そこから』を出版しました。そして感じた事は,このテーマは日本資本主義の原理的分析歴史的分析を深めることによってとらえることができるのではないかということで,従来の出版活動をさらにすすめることが重要だということでした。3.11による出版界の停滞(特にアマゾンの混乱)は6ヵ月くらい続いたように思いますが,我々専門書を中心とした出版社にとって有利な大型店の代表であるMARUZEN・ジュンク堂の出店は,甲府,静岡,仙台と2011年も続きました。
電子書籍が専門書出版にどう影響するかはまだ未知の世界のようで,手さぐりの状態が続いているようです。創風社としても研究課題です。
2012年の出版予定は次のようになっています。
山崎準二『教師の発達と力量形成―続・教師のラーフコース研究』
小川雅人編著『持続可能社会形成とまちづくり』
上原征彦・東伸一『文化創造のマーケティング』
植田浩史・本多哲夫・北村慎也『地域産業政策―自治体と実態調査』
伊藤・石毛『わかりやすい薬理学』第6版
きょうされん編『共同作業所の発展』(仮題)
そのほか『放射能と食料問題』『イギリスの不登校問題』『社会科学とは何か』など進行中のものがいくつかあり,15点の新刊発行をめざしていく計画です。今年もよろしくお願いします。
創風社社長 千田顕史
創風社に入って13年がたちます。入社以来様々な出版界の変化がありましたが,DTP製作,物流,編集, WEB製作,編集,経営者の見習い,経理などさまざまな業務をしてきました。IT技術の活用も進み,英語の医学書,漫画の復刻,経済学の事典,PDF付録付の児童美術研究書,そしてピアノ伴奏のCD-ROM(MP3)付の童謡集,絵と詩と音楽が融合した総合芸術といわれるスタンスの美術書なども刊行しました。本年度は3月に東日本大震災が発生し,8月に私も石巻,女川地区に取材に出かけ(写真撮影など),9月に『震災の石巻―そこから―市民たちの記録』を刊行しました。製作面もクォークからインデザインというソフトウェアを活用することで,より低コストでの出版活動も増えました。メディアが多様化してきた時代に出版社としてどのように存続,発展をするか試行錯誤してきた13年間でした。編集長になってからは,本の完成に責任を持つ立場で仕事を続けています。
千田社長やスタッフのおかげでなんとか11点刊行にこぎつけた1年でした。そして,内容に関してはアカデミズムを中心とした(現状分析も含む)言論・思想の自由の場を場をつくるというスタンスで例年通り出版活動を進めることができました。最近は,e-bookも普及し始めましたが,若い世代は新技術に関心を強く持つので,出版社としては無視できません。しかし,プラットフォームが多様なこと(pdf,epub,blioなど),紙媒体の出版物の経営資源を削ってe-bookを製作,普及することになるので,どう採算ベースに合わせるのか創風社としては慎重に検討中です。クォークの新バージョンはe-book対応機能があるので,性能をテストしている最中です。
本年度も,様々な現代的課題に対して内容的,実務的に向き合った出版活動を進めたい。金融資本主義経済が破綻し,経済のグローバル化がもたらすデフレーション,そういう時代背景の中での中小企業の倒産,非正規雇用の増加,若者の就職難,そして「障害者自立支援法」にみられる福祉の切捨て,農林水産業の衰退,過疎化の問題,地域小売業等,地域経済の問題。東日本大震災に伴う様々な現代的課題に対してどう出版人として向き合うのか。子どもの心をどう解放し,豊かに育てていくのか。そして過酷な現代社会を生き抜くための健康,それをどう維持していくのか,そのような課題もあります。
本年度もアカデミズム(現状分析も含む)を中心とした出版活動をすすめつつ,厳しい時代状況を生きる人々の現代的課題に一層貢献できるような本を一点でも多く出していきたい。そう考えています。本年度もよろしくお願いします。