新年にあたって
新年おめでとうございます。創風社の2012年の出版活動は次のようになります。
山崎準二『教師の発達と力量形成━━続・教師のライフコース研究』
植田浩史他『地域産業政策━自治体と実態調査』
きょうされん編『共同作業所の向こうに障害者の仕事とくらし』
創風社編集部編『震災の石巻━再生への道・市民たちの記録』
文・千葉直美、絵・阿部悦子『童話・震災の石巻━井戸水とお父さん』
中山晋平・成田為三作曲『子どものための歌2』
高野範城『社会保障・社会福祉の権利をいかに獲得するか』
伊藤芳久・石毛久美子『わかりやすい薬理学』第6版
2013年版子どもカレンダー
出版点数としてはやや後退しましたが、大著が2点あり、また編集部が中心になって現地取材して本の完成にこぎつけたものもあり、なかなか忙しい1年だったようです。後退した点数は今5点が原稿として入って、製作中ですので2013にはそれなりの出版点数になる予定です。やはり2011年の3月11日の東日本大震災の影響は強く出ているようで、出版社━取次━書店の流通はかなり混乱しました。ジュンク堂、丸善の新規出店はなく、むしろジュンク堂新宿店、ジュンク堂京都BAL店が閉店となりました。アマゾンが大阪屋から日販へ、図書館流通センターが大洋社から日販へと変更され、中小取次店が出版不況のしわ寄せをうけつつあります。著者サイドも今までの視点だけでは不十分でありこの3.11東日本大震災をふまえてすすむ必要のある分野も多くあり、そういう本が出版されるのはこれからになります。今度の消費税の5パーセントアップは相当厳しいものになると予想しています。印刷・製本のコストの5パーセントのアップは何とか努力して支払いができても、読者の買い控えが広がっていくのに対処する方法は見つかりそうもありません。すでに出版界は中小取次店の廃業や縮小・合理化の波がおしよせています。我々としては時代の課題を常に見据えて、すぐれた内容の本を一点でも多くだしていくという道しかありませんので、2013年も同じように歩んでいきたいと考えています。電子書籍については、我々の知りうる範囲で経済的にプラスを生み出したという話は出ていないので、マスコミ先行の話題なのでふりまわされることなく注視していくというテーマのようです。
2013年は次の本を出版する予定です。
小川雅人編著『持続性あるまちづくり』
田中菊次『マルクス著・エンゲルス編━資本論(経済学批判)』
守健二『マルクス恐慌論の論点』
光武幸『世紀末文化を楽しむカルチャーツーリズム』
大森亨『理科教育・環境教育・ESD・地域づくり━3.11を契機に子どもの教育を問う』
堀智勝編『最新てんかん学』
富田満夫『医師チェーホフ』
有江大介『社会科学概論』
小椋宗一郎『妊娠中絶と生命倫理━ドイツの「妊娠血統相続」をめぐる法と倫理』
富田充保訳『学校からの排除にかわる実践的方策』
伊藤・石毛『わかりやすい薬理学』第7版
2014年版子どもカレンダー
創風社 代表取締役社長 千田顕史
創風社に入って14年がたちます。入社以来様々な出版界の変化がありましたが,DTP製作,物流,編集, WEB製作,編集 ,経営者の見習い,経理などさまざまな業務をしてきました。IT技術の活用も進み,英語の医学書,漫画の復刻,経済学 の事典,PDF付録付の児童美術研究書,そしてピアノ伴奏のCD-ROM(MP3)付の童謡集,絵と詩と音楽が融合した総合芸術 といわれるスタンスの美術書なども刊行してきました。昨年度は3月に東日本大震災が発生し,8月に私も石巻,女川地区 に取材に出かけ(写真撮影など),9月に『震災の石巻――市民たちの記録』を刊行しました。そして、本年度は 4月に石巻地区を再訪し、11月には『震災の石巻―そこから―再生への道』、絵本『震災の石巻 井戸水とお父さん』を 震災の石巻シリーズ3部作として刊行できました。製作面では本年度もクォークからインデザインというソフトウェアを 活用することで,より低コストでの出版活動を進めることができました。メディアが多様化してきた時代に出版社として どのように存続,発展をするか試行錯誤してきた14年間でした。編集長になってからは,本の完成に責任を持つ立場で仕 事を続けていますが、本年度も社長やスタッフのおかげで、なんとか9点刊行にこぎつけた1年でした。
そして,内容に関しては例年通り学術、市民サイドの出版活動を中心に様々な言論・思想の自由の場をつくり、広める ことがことができ、様々な現実的課題と向き合っていくような仕事を進めることができたと思っています。
最近は,電子書籍も低価格の機械も発売され始め、普及が期待されるところです。新技術の進歩は急速ですが、やはり プラットフォームが多様なこと(pdf,epub,blioなど),紙媒体の出版物の経営資源を削って電子書籍を製作,普及するこ とになるので,どう採算ベースに合わせるのか検討中し続けています。クォークの新バージョンは電子書籍対応機能があ るので,性能をテストしている最中ですが、普及するうえでの交渉条件など検討課題も多くすぐには推進できません。
本年度も,様々な現代的課題に対して内容的,実務的に向き合った出版活動を進めたい。やはり東日本大震災が大きな テーマとなって、環境、教育、医療や福祉、心理などの様々な課題があります。また、金融資本主義経済が破綻し,経済 のグローバル化がもたらすデフレーション,そして「障害者自立支援法」にみられる福祉の切捨て,農林水産業の衰退, 環境問題、地域小売業等,地域経済の問題。それらの課題に対してどう出版人として向き合うのか。子ども(若者)の心を どう解放し,豊かに育てていくのか。そして過酷な現代社会を生き抜くため、健康,それをどう維持していくのか,医学 の進歩などの課題もあります。
本年度もアカデミズム(現状分析も含む)を中心とした出版活動をすすめつつ,厳しい時代状況を生きる人々の現代的 課題に一層貢献できるような本を一点でも多く出していきたい。そう考えています。本年度もよろしくお願いします。
創風社編集長 高橋 亮