2014年5月8日発売 図書館協会選定図書 北海道新聞紹介

大 森 享(北海道教育大学釧路校)編著
野生動物保全教育実践の展望
知床ヒグマ学習,イリオモテヤマネコ保護活動,
東京ヤゴ救出作戦

A5判上製276頁 本体2,000円

発売中

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 本書は,子どもと自然との豊かな交感を進めるために,野生動物との共存・共生教育という領域を考察対象としてその理論的探究について論述する。
 江戸・明治初期の日本に対し,野生動物と共存・共生する国として外国人は驚嘆の声を上げていた。
 身近に野生動物が共存・共生する環境について今では体感することはできないが,多くの日本人は,野生動物との多様なかかわりの中で豊かな感性を育んできたであろう。それらは各地に伝承する物語の中に散見する。
 西洋に追いつけ追い越せと近代国家として歩み出した日本では,江戸・明治初期の日本の野生動物との共存・共生は,文化としても活動としても皆無と言っていいほど伝承されていない。
 本書では,北海道羅臼町のヒグマとの共存・共生を目指す幼小中高一貫「ヒグマ学習」の取り組み,沖縄県西表島のイリオモテヤマネコとの共存・共生を目指すヤマネコと暮らすプロジェクトの取り組み,東京都墨田区の小学校「プールのヤゴ救出作戦」の取り組みを事例として,野生動物との共存・共生を目指す教育と子どもの発達についての到達点と課題をまとめたものである。
 本書は多くの学校関係者・社会教育関係者・教師を目指す学生・研究者に読まれ,日本での野生動物保全教育の前進に一歩でも役立つ契機となることを願って刊行されてものである。(「はじめに」より)

(主要目次)

 第1章 野生動物保全教育実践の展望(大森 享)

実践編:

 第2章 知床ヒグマ学習 ―幼少中高一貫学習― (金澤裕司;羅臼町教育委員会、坂部皆子;知床財団)

 第3章 イリオモテヤマネコの生態と保護活動(岡村麻生;元環境省西表島保護センター

 第4章 イリオモテヤマネコ保護活動の現状と課題(戸川久美;イリオモテヤマネコ保護基金

 第5章 東京・墨田区「ヤゴ救出作戦」の現状と課題(尾崎 優;東京都墨田区公立小学校教員

理論編:

 第6章 長野県における野生動物をめぐる環境教育(渡辺隆一;信州大学教育学部特任教授)

 第7章 自然体験学習における野生動物の捕獲・採集規制への向き合い方(坂元雅行;弁護士)

 第8章 発達心理学からみた自然体験、野生動物の共存(小渕隆司;北海道教育大学准教授)

コラム:高橋幸士、木村久美子、金城光定、岸康裕

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