成澤むつ子著 

自立の開拓者丸岡秀子
――私の女性史学習ノート――

46判 上製 238P 本体1800円  

 しかし、本書のなによりの魅力は、著者が丸岡秀子の人生を克明にたどり、深い愛情をもって丸岡秀子を読もうとしているところにある。なにか人をおどろかすような見方や結論があるわけではない。
 なぜこれほどまで、著者は丸岡秀子をふかく読み込もうとするのであろうか。それは読者に丸岡秀子の生きた道を正確な事実によって復元し、それによって女性のあゆみを客観的に明らかにすることであった。そうなれば秀子の周辺にとどまらず、日本社会全体とのかかわりをとらえなければならず、「歴史のなかに生きた先人のなかの一人」として学ばなければならなくなってくる。そうしてみると、丸岡秀子は平塚らいてうや富本一枝らがめざした方向の延長線上に位置付けられてくる。卓見であり、それはみごとに成功していると私は思う。

目次

序にかえて  鈴木良
はじめに   太鼓楼に登る
1 秀子の生い立ち
2 祖父母の家
3 長野高等女学校時代
4 奈良女高師時代・
5 富本憲吉・一枝夫妻のこと
6 富本一枝をたずねて
7 丸岡重秦と大原社研・東洋経済新報社
8 重尭と社会経済研究所・社会思想社
9 重尭との結婚
10 産業組合中央会への就職
11 『日本農村婦人問題』を著す
12 なぜ、産組中央会に就職したか
13 北京時代
14 秀子の活動再開-日協婦人対策部・
15 主婦連の結成をめぐって
16 農村婦人協会の設立と秀子の活動
17 全国教研集会で果した役割
18 婦団連の結成と世界婦人大会
19 母親運動に果した役割

おわりに-ひとすじの道
付論1 平塚らいてうの青年期
  2 青踏時代の尾竹紅吉(富本一枝)
あとがき

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