漆原綏(徳島大学名誉教授)著

マルクス地代論の研究

46判 上製 230P 本体1800円   

 マルクスが『資本論』の最終に近い諸章で展開している地代論は,2つの重要な理論的意義をもっている。
 第1に,それは,かれ白身が明言しているように,『資本論』の全体系書完結させるものである。いうまでもなく,現行『資本論』は資本と賃労働と土地所有の三範疇からなる資本主義的生産様式の内的編成を理論的に解剖したものであるが,地代論よりまえの諸章では,資本と賃労働の関係だけがとり扱われていたとすれば,地代論にいたってこの生産様式の最後の構成要素である土地所有が登場し,これによって,この三範疇からなる資本主義的生産様式の内的編成の理論的考察が完結し,その全貌が明らかとなる。第2に,それは,一国の農業経済の分析にとって重要かつ不可欠の基礎理論,分析用具を提供するものである。ある小農国において,土地生産物価格や地代や土地価格がいかなる法則にもとづいて形成されているか.小農経営はどのような方向にむかっているか,農民の貧困化はいかに進行しているかなどの理論分析にさいして地代論は基礎をなすものである。このような研究方法はすでに農業経済の研究において定着しており地代論の研究が農業経済の専攻者によって行われてきたことはけっして偶然ではない。私は,かねてより,地代論がこのような2つの理論的意義をもっているとの認識に立って,その研究にたずさわってきた。本書は,これまでの研究をとりまとめたものである。

目次
序文
第1章 「経済理論」と地代論
 第1節 「経済理論」の体系
 第2節 地代論の理論的意義

第2章 価値法則と「虚偽の社会的価値」
 第1節 問題の所在
 第2節 一般商品の場合
  1 価値
  2 市場価値と生産価格
 第3節 土地生産物商品の場合
 第4節 「虚偽の社会的価値」の二面性
 第5節 代表的見解の検討
  1 向坂逸郎氏の見解
  2 山田勝次郎氏の見解
  3 大内力氏の見解

第3章 位置の差額地代
 第1節 形成のメカニズム
 第2節 豊度の差額地代とのくみ合わせ
  1 第1の様式――豊度の差異と位置の差異が並行的である場合
  2 第2の様式――豊度の差異と位置の差異が並行的ではない場合
 第3節 追加投資と位置の差額地代

第4章 差額地代第2形態の諸問題
 第1節 第2形態の概念
 第2節 「マルクス方式」と「エンゲルス方式」
 第3節 最劣等地の差額地代(1)
 第4節 最劣等地の差額地代(2)

第5章 資本主義と土地所有
  ――絶対地代と関連して――
 第1節 絶対地代形成の原因と条件
 第2節 差額地代と絶対地代の関係
  ――絶対地代論冒頭の代数式について――
 第3節 土地所有と資本の有機的構成
  1 土地所有
  2 資本の有機的構成

第6章 大土地所有の階級的性格
 第1節 寄生性と浪費性――エンゲルスの命題――
 第2節 長期的土地改良投資の阻止と地力の破壊
 第3節 土地生産物価格の騰貴と農村労働者階級の貧困化
 第4節 農業における資本蓄積の阻止

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