加藤眞義(福島大学)

個と行為と表象の社会学


46判上製 356P 本体2800円 

 序論本書は、タイトルに掲げた「個」・「行為」・「表象」というテーマにかんするマルクスの考察方法とその意義を明らかにすることを課題とする。諸個人の、近代的な「個」としての存在形式、すなわち「私」という存在形式は、どのようにして成立しているのだろうか。そういった諸個人たちの社会的行為と、それらが織りなす社会構造との相互連関に内在しているロジックは、いかなるものなのだろうか。個々人が、行為と構造との連関や「社会的なもの」にかんして抱く表象は、社会的なリアリティの形成にいかなる作用を及ぼしているのだろうか。  

目  次

序 論
第一章 マルクスにおける「個」と共同性の問題圏19
 第一節 クロイツナハ期の「共同態」論
 第二節 クロイツナハ期の「フランス革命」論
 第三節 「市民社会」像の転回と「フランス革命」論
 小 括 「国家=二重のフィクション」論について
 補論

第二章 近代的「個」の再構成
 第一節 「個」と社会との分離という表象
 第二節 「生産主義者」マルクス
 第三節 交換行為をとおしての「主体」の構成
 第四節 利己的個人の社会性

第三章 社会的行為の「として」構成
 第一節 マルクスにおける行為の概念
 第二節 行為の二重性の把握−−『経哲草稿』第一草稿の問題設定
 第三節 「社会的なもの」と自然
 第四節 「交通」行為の二重性−−『ミル評註』における行為の把握
 補論 行為の規定性と行為の現象学

第四章 個人の主体化と資本の主体化
 第一節 『要綱』 の論法
 第二節 「取得法則の転回」論
 第三節  自己再生産過程としての「主体」
 第四節 マルクスにおける行為と社会構造との連関の把握
 小 括 マルクスにおける行為と社会構造との連関の把握

第五章  マルクスの「下向法」−−「抽象的」であるとはいかなることか−−
はじめに ー マルクスにおける「学」の方法
第一節 「端緒」をめぐる諸見解
第二節 遂行される抽象
第三節 価値生成の歴史性は
第四節 社会的行為の「として」構成の展開
 補論 「遂行的貨幣」諭について

第六章 「上向法」の問題構成爛
   −−リアルなものから抽象をへて再びリアルなものへ
 第一節 いわゆる「物象化」論に関する諸説の検討肌
 第二節 『要綱』以後の「取得法則の転回」論
 第三節 『資本論』第三部における諸カテゴリの展開
 第四節 「三位一体定式」論
 第五節 生産と分配のダイナミックス−−資本の時間構成
 第六節 日常表象の再構成−−「生成」論としての上向法
 補論 社会的行為の規定としての階級規定

結  論

 文  献
 あとがき

既刊案内 社会学・社会福祉本の検索Top