折出健二 (愛知教育大学教授)著

市民社会の教育 
〜関係性と方法〜

発売中

46判上製328頁 2400円 

目  次

序  市民社会と子どもの平和的自立

一 沖縄・長崎の少年事件をどう見るか

二 「居場所」「つながり」を求める子どもたち

三 教育基本法の子ども観〜関係性と方法〜

四 教育国家・日本の現状を問う

   1 教育国家・日本と市場主義

   2  教育基本法の「解体化」

五 「教育改革」と子どもの現実

六 市民的な関係性・公共性と子どもの平和的自立


第一部 市民社会をきずく関係性と方法

I 市民的関係性・公共性と生活指導

 一  「市民」と「公共性」

 二 中教審答申の「公共性」と教育基本法の共同・自立観

  1 新国家主義と新自由主義の癒着構図

  2 中教審の「公共」「自立」「たくましい日本人の育成」

  3 市民としての公共性と自立

 三  集団づくりの方法と「協治(ガバナンス)」批判

  1 「個人と集団」「個と公」をめぐる争点

  2 新たな集団づくりの始点に立ち返って

  3 協治(ガバナンス)と自治

四 「心のノート」のポリティックスと市民教育の論理

  1 国家が「道徳教師」として登場するとき

  2 「心のノート」というポリティックス

  3 道徳の同心円的把握と道徳主体の捉え方


II アザーリングの関係性と方法

一  自立・アザーリング、そして「立ち直り」

  1 自立の意味

  2 自立にとっての〈他者〉とアザーリング

  3 子ども・若者の「立ち直り」とアザーリング

二 学びの臨床〜アザーリングとエンパワメント

  1 学びの場におけるケアと応答

  2 ことばの学びとは

  3 ことばの学びとエンパワメント

三  高校生の自立とアザーリング

  1 自分をつくるということ

  2 現代高校生とアザーリング〜その影と光〜

  3 学びと集団を変える視点


III 教育・教育学の関係性と方法

はじめに 〜「臨床」の意味〜

一 生活指導・学校社会臨床・エンパワメント

  1 現代という時代の中の臨床教育学

  2 教育学をめぐる二通りの声

  3 生活指導と学校社会臨床の可能性

  4 ある実践例をめぐって

二  新世紀の教師と生活指導

  1 市民社会の真価が問われる時代と教師の生き方

  2  学校社会臨床家としての教師

  3 社会的ケアテーカーとしての教師
    〜子ども虐待が問いかけていること

  4 新世紀の教師像を求めて

三 〈他者〉の発見と生活指導の構図〜指導・援助を動詞的に読む〜

  1 いま、なぜ動詞的解読なのか

  2 現代を「生きる」ことの意味と対(つい)動詞的読み拓き

  3 〈他者〉不在から〈他者〉発見へ


補論 実践報告を読むということ

  1 学際性という視点からみる検討課題

  2 生活指導実践の独自性

  3 実践報告の性格

  4 定性的研究方法としての実践分析

  5 読みひらくこと


第二部 新しい生活指導・集団づくり

IV 集団づくりの転換〜構造性から連帯性へ〜

  一 〈関係性〉の問題と集団づくり

  二 〈構造性集団づくり〉の歴史的意味

  三 〈構造性集団づくり〉と参加民主主義とのずれ

  四 〈構造性〉から〈連帯性〉への転換

  五  市民社会的な力と自立・自治・連帯

V 現代の民主主義に開かれた集団づくり

  一 論点は何か

  二 「民主集中制」と「構造性集団」

  三 市民社会の自治と参加民主主義

  四 新しい〈子ども集団づくり〉の探求

   〜 参加民主主義の世界に開かれた集団づくり〜


VI 教えと学びのダイアローグとしての生活指導

  一 状況把握の構図

  二 生活の変革を導く人権民主主義の問題

  三 「教え」と「学び」のダイアローグとしての生活指導

  四 学習と自治の統一をめぐる課題(1)

  五 学習と自治の統一をめぐる課題(2)


補章 市場個人主義時代と生活指導研究


一 教育実践の転換をせまる市場個人主義の拡張と全生研運動
   の位置

二 『新版・学級集団づくり入門』の提起したことと九O年代
   の子ども・学校・地域

三 民主主義的関係性としての共同とその新たな探求

四 集団の主体性・共同性・組織性

五 子ども自身による他者との新しい関係確立と指導の再生

六 現代の転換点と私たちの課題

あとがき

索引

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