2006年12月15日発売

仲島陽一(1960年生まれ 東京国際大学非常勤講師)

共感の思想史

発売中

46判上製294頁 2000円

 

 他人の気持ちがなぜわかるのか? 他人の感情がなぜ自然に自分に移ってしまうのか? 共感は生まれつきの作用か、無意識の心理か? なぜ共感したりされたりするとうれしく思うのか? 同情する心は大切か、それとも同情はよくないことなのか? なぜ気の毒な人に同情しなかったり他人の不幸を喜んだりする人がいるのか? 自分にかかわりのない他人や死者、他の生き物や無生物にも共感できるのか? なぜ作り物の芝居や小説の人物に感情移入するのか? 芸術家は鑑賞者の共感を求めているのか? 神や仏は人間に同情しているのか? 市場経済や民主政治は共感を育てるのか壊すのか? 教育や医療と共感能力とはどのようにかかわるか? 共感について思想家たちの考えは共通しているのか、それとも別々なのか? ――古今東西の思想において「共感」がどう考えられているかを検討しつつ、これらの問題を考察する。

 目次

  はじめに

第一章 日本語における共感 ――「共感」は新しい言葉――  

第二章 仏教――慈悲と共感――

第三章 儒家思想――仁と共感――

第四章 アリストテレス――古代ギリシャの共感論――

第五章 原始キリスト教――慈愛と共感――

第六章 デカルト・ホッブス・スピノザ――近世情念論と共感

    第一節 デカルト
    第二節 ホッブス
    第三節 スピノザ  

第七章 ヒューム――共感の心理の仕組み――

第八章 スミス――市民社会と共感――

第九章 レッシング・カント・シラー ――ドイツ古典美学と共感――

    第一節 レッシング
    第二節 カント
    第三節 シラー    
    第四節 悲劇と共感の問題――
まとめにかえて――

第十章 ショーペンハウアー ――同情の形而上学―

第十一章  フォイエルバッハ ――共感の神学と人間学――

第十二章 マルクス ――共感の疎外と社会変革――

第十三章 ニーチェ ――同情批判と前期ファシズム――

第十四章 リップスとフロイト ――感情移入と深層心理による共感――

第十五章 シェーラー ――価値倫理学と比較思想論による共感――

第十六章 アレント ――同情批判と現代政治思想――

第十七章 共感と現代の諸科学

    第一節 社会心理学
    第二節 発達心理学
    第三節 臨床心理学
    第四節 感情社会学

既刊案内 哲学本の検索Top

 
   

 

 

>