新刊案内2008年5月20日発売    

漆原 綏(徳島大学名誉教授・経済学博士)著

転 化 問 題

――生産価格概念の発展――

発売中


A5版上製 288頁 本体2800円

   私は、これまで、『資本論』における地代論の研究にとり組んできが、いうまでもなく
、地代論は、価値法則と生産価格法則を前提、基礎とするものであるから、そのいっそう
の研究のためには、これらの前提、基礎についてさらに掘り下げて考察しなければならな
いと考えるようになった。だが、価値論と生産価格論の考察をすすめていく過程で、多く
の論者がとり組んでおり、いまなお大きな論争になっている問題───いわゆる「転化問
題」───に遭遇することになり、それについて私見をまとめる必要にせまられることに
なった。本書は、この問題についての私見を提示したものである。
 私が、最初にみたことは、従来の論争が、費用価格が生産価格に転化した場合に、マル
クスの総計一致の命題───総剰余価値=総平均利潤、総価値=総生産価格───は妥当
するか否かをめぐって行なわれ、しかもそれが、マルクスの『資本論』の全体系の根幹に
かかわるものであるかのように考えられていたことであった。しかし、これにたいして、
私は、費用価格が生産価格化した場合に、総計一致の命題が成立するかどうかという問題
提起の仕方そのものが間違いで、費用価格が生産価格化した場合に、総計一致の命題はい
かに発展した形態を受けとるか、一般的利潤率や平均利潤や生産価格の概念はどのような
発展した形態を受けとるかというように、問題を立てるべきであると考える。本書の「第
四章 生産価格概念の発展」は、このことについての私の見解を示したものである。・・・
(「序文」より)『マルクス地代論の研究』に続く意欲的労作!!。

目  次

 序文
第一章  序論  価値と価格
  第一節  価値
  第二節  価格
  第三節  商品の物神的性格
  第四節  交換過程

第二章  価値の生産価格への転化
  第一節 費用価格と利潤
  第二節  利潤率
  第三節  生産価格の概念

第三章 競争
第一節 競争論の方法
  第二節 市場価値の形成
  第三節 競争による価値の生産価格への転化

第四章  生産価格概念の発展
  第一節 問題の提起
  第二節 費用価格の生産価格化
  第三節 総計一致の命題の発展
  第四節  利潤概念発展の意義

第五章  転化問題についての諸学説
  第一節  代数学的同時決定説
  第二節 逐次修正説
  第三節 次元の相違説
  第四節 競争転化説
  第五節 二段階転化説


漆原 綏 (徳島大学)
主要著書 『地代理論の研究』(御茶ノ水書房 1973年)
     『マルクス地代論の研究』(創風社 2004年)

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