著者紹介:1951年生れ。1982年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了 現在横浜国立大学経済学部名誉教授
内 容: ギリシャ時代以来のヨーロッパの学問の展開の中で,社会の経済的把握のあり方の系譜を,働くことの意味付けと経済理論との関連という視角から整理し,検討を加える。アリストテレスからスラッファまでという壮大な視野のもとに,労働価値論史研究に一石を投ずる労作である第1 版の出版(1990)から35 年以上経った。(第3 版)では「前言」としてこの世界も日本も大きく変容したこの35 年の間に世界の資本主義に何が起こったのかを概括するとともに,なぜ本書のような内容の書籍が今なお顧みられるのかを考察することとした。
主要目次:
前言 21 世紀資本主義における“労働と正義”
:第3 版を刊行するにあたって
氈@この35 年で経済に何が起こったのか
資本主義の構造的変容と現在
。 「労働」の変容
「 「正義」の現況
」 対案:「共感資本主義」や「暗黒社会主義」は有効か?
、 結論に代えて:資本主義とは何かとその強さ
序 論
1 問題意識――わが国の経済学史研究の特質
2 働かないことの意義――<アルバイト・コンプレックス>
前篇 正義と労働の経済思想史
第1章 アリストテレスにおける経済的社会把握の方法
――正義・労働・貨幣・経済――
I はじめに――なぜアリストテレスなのか
II アリストテレスについての経済学史的評価の類型
III アリストテレスによる経済的社会把握
IV アリストテリアンとしてのマルクス?
V おわりに
第2章 トマス・アクィナスの「交換的正義」と「公正価格」
――中世の“危険な思想家”としてのトマス――
I はじめに――時代背景
II トマスの経済思想の経済学史的評価の概観
III 「交換的正義」の経済学的意味
IV 「公正価格」の社会理論的含意
V おわりに――アリストテレス,トマス,マルクス
第3章 マルチィン・ルターにおける経済と労働
――ウェーバー・テーゼの妥当性への一批判――
I はじめに
II ルターの経済観と公正価格論
III ルターにおける労働と職業
IV ウェーバー・テーゼにおけるルター
V おわりに
策4章 アダム・スミスにおける「交換的正義」と経済学の形成
――自律的経済の把握と労働価値論――
I はじめに――分裂するスミス像
II 自然法の世俗化と“契約的交換社会”観
III スミスにおける「交換的正義」の意義
IV 「交換的正義」の含意と『国富論』の労働価値論
V おわりに
後篇 労働価値論の理論史
第5章 「絶対価値」概念からみたリカードゥの労働価値論
――記述の形式化と経験主義からの乖離――
I はじめに――リカードゥと「絶対価値」
II リカードゥ経済学の課題と方法
III リカードゥの「絶対価値」概念の形成
IV 「絶対価値」概念の特色とリカードゥ経済学の運命
V おわりに
帯6章 サミュエル・ベイリーの「絶対価値」批判とマルクス
――労働価値論の解体と再編――
I はじめに――ベイリー登場の背景
II 『論究』の価値概念の特色
III マルクスによるベイリー研究とその批判
IV マルクスにおけるベイリーの受容
V 労働価値論とマルクスの価値概念
VI おわりに
第7章 マルクス労働価値論の特異性とその異義
――19世紀経済学における位置――
I はじめに――課題の設定
II リカードゥ価値論の問題状況
III 古典派価値論の組みかえ
IV 『資本論』冒頭章における労働と価値との連関
V おわりに――マルクス価値論の経済学史的意義
第8章 ベーム=バヴェルク以降のマルクス批判と現代の労働価値論
――等価交換批判・転形問題から「マルクスの基本定理」・「搾取の一般理論」へ――
I はじめに
II 古典的マルクス批判の方法論的含意
III 労働価値論の現況――スラッファ・「マルクスの基本定理」・「搾取の一般理論」
IV おわりに
結論 労働の解体と「分配的正義」の復権
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