メディア掲載・関連書評 etc.1(創風社 Web紹介分のみ)
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稲葉三千男著『ドレフュス事件とエミール・ゾラ』「狂信と戦った動機と姿勢 評 吉原 功「赤旗」
やしまたろう作『絵本・村の木』 1998年6月15日「朝日新聞」(夕刊)
富田満夫著『Q&A腰痛の治し方』「民医連新聞」(00/1/21),「民医連医療」99/11,
富田満夫著『中高年 女性の腰痛』 (「長崎保険医師会新聞」2000/1,『労働健康 No.157』)



 

この絵本の画家は、七十年くらい前に戦争を批判する作品を描いて何回も逮捕された漫画家、岩松淳である。一九三九年、彼は日本を脱出してアメリカヘ渡る。そうして「八島太郎」になって絵本を描くようになる。その作品は、騒々しいわれわれの日常とは違い、質朴で豊かさに満ちた美しいものだ。明治のころ小泉八雲は静かな城下町松江に来て『知られざる日本の面影』を書いた。西洋から東洋(日本)を見つめることで、私には太郎と八雲がだぷって見える。この絵本は、田舎の小学校の帰り道、職人たちの仕事を眺めて道草をする子どもの心を描いたものだ。遠いむかしの日本がある。郷愁、望郷、懐古、といった声がきこえてきそうだが、そんなことはない。浅薄なものがよろこはれる風潮のある昨今、こういった絵本は貴いのである。頭の中がむかしの風景になって、心地よい風が吹きぬけていくのだ。この絵本を見て、「いまの子どもには、わからない」と言う人がいそうな気がする。そうであれば、子どもたちにむかしの日本の姿を教えてやれはよい。そういったことも、大人のやることなのよ。      

長 新太 (絵本作家) 

1998年6月15日「朝日新聞」(夕刊)

「中高年」「女性」という、ところに少しひっかかりを感じながら、『いつでも元気」9月号の著者の記事に関心を持っていたこともあって読んでみた。全体の形式は、Q&Aの形をとっていて、いっきに読める。そして、その語り口のなかに、診療所の整形外科医として、悪戦苦闘ながら患者さんと誠'実にむきあっている医師の姿勢が感じられる。今まで一律に「腰痛」と考えていたが、その原因は様ざまであり、確かに「中高年の女性」に特徴的な病状もあり治療方法もあるのだなと納得できる。紹介されている体操も比較的簡単。気軽にゆっくりとした時間のなかで、はじめてみることおすすめです。(Y)

(1) 1999年 11月「民医連医療」


著者の富田満矢先生については、整形外科医そして長崎市の大浦診療所長として、長年臨床の第一線で診療してこられたことをご存知の方が多いと思います。「中高年女性の腰痛」は医師向け、「Q&A腰痛の治し方」は一般向けに書かれています。前者について鈴木良平長大名誉教授は「豊富な臨床的経験をもとに、疫学的調査、広範な文献的考察に裏打ちされた貴重な記録であり、現在の画像診断法を盲信して、安易に症状に直結させる傾向に反省を迫る警告的な著作」、後者について穐山富太郎長大医療技術短大部教授は「長年の経験と研究から中高年女性の腰痛の治療に独自の方法を編み出し、本書でわかりやすく解説」と専門医の立場からそれぞれ推薦の辞を書いておられます。私は門外漢内科医ですが、女性の腰痛について、ユニークな視点から、しかも独善に陥ることなく、わかりやすく書いてあると思いました。私もプライマリケア医として、本書を参考に患者さんの相談に乗ってあげたいと思っています。富田先生について私は、誠実なお人柄と真理な診療にかねてから敬服し、その臨床について多<の患者さんから信頼され、評価が高いことも知っていました。かつて、三菱造船に来ていたスコットランド人技師がいわゆる急性腰痛で動けなくなり、病院で治療を受けたが治らないのでと相談を受けたことがありました。その時富田先生を紹介しましたが、先生の治療で急速に腰痛は消失し、彼は「ミラクルのようだ」と驚き喜びました。そのことを伝えると、先生が謙虚に「治らないこともありますよ」と言われたことも覚えています。こういう個人的経験もあり、一般臨床医と腰痛で悩む人々に本書を薦めたいと思います。   一哲翁昭邦記一

(2) 2000年 1月「長崎保険医師会新聞」

"腰痛"それはしつこいストーカーのようにいやなもの。私もその悩みをかかえつつ働く中高年のひとり。そこにこの本とはぴったりの出会いでした。
「治りにくい中高年女性の腰痛の原因の多くが骨、軟骨の変化ではなく、自律神経の乱れにある」。この仮説にもとづき、著者の富田満夫氏(長崎民医連・大浦診療所、医師)は数かずの症例と実践の成果を患者さんの素朴な質問に答える形で読みやすく紹介しています。「なぜ腰痛は女性に多いのか?」「婦人科の病気と腰痛の関係は」「更年期になぜ腰痛がふえるのか?」「お産のあと、なぜ腰痛になりやすいのか?」など。そして、痛みが少しあっても続けられる体操の紹介もあります。
全体を通して、中高年女性が腰痛とつきあいながらも、あきらめずに、元気に、生きいき働き続けてほしいという民医連の医師らしい心やさしいメッセージにあふれています。ぜひ、多くの医師をはじめ、医療従事者はもちろん、腰痛を持つ女性の皆さんに読んでいただきたい力作です。(千葉健生病院・看護婦、柴田せつ子)

(3) 2000年 1月21日「民医連新聞」


1970年日本産業衛生学会が頸肩腕障害と腰痛の研究委員会を作ったころは、頸や肩のいたみは若い女子の方が多く、腰や足のいたみは男の方が多かった。腰痛は戦前から鉱山・港湾・鉄道・林業など重量物を運搬したり重激な労働をするものに多く、戦後は運輸・金属に多かったが、次第に福祉・保育・電機(コンベア・流れ作業)など女子に多くなった。とくに中高年の女子に非災害性の腰痛が多い。25年以上も整形外科を看板にした長崎の大浦診療所に勤務して、中高年の女性の患者さんに「女性特有の訴えがあり、訴えと一致した症状があり、決して御用学者の言う「ゴミのような不定愁訴」ではないことを明らかにされた。そのうえで、これらの「腰痛症」の大部分は「自律神経の乱れ」を治すような治療法によって痛みが和らぐことを実践されている。この本は腰痛の要因・症状・年齢化・治療法について、ていねいに患者の質問に答えていて、分かりやすい。繰り返す痛みをがまんしながら、治す意欲を失ってあきらめている人は、この本を読まれるとよい。きっと勇気づけられるだろう。なお、この本と同時に同じ出版社から医師・医療関係者・研究者向きの「中高年女性の腰痛」P144、2400円が出されているので参考にされたい。
(4)『労働と健康 NO.157』(臨月刊)