富澤 修身(大阪市立大学)著
アメリカ南部の工業化

A5判 上製 320P 本体3800円 

 この時期(南北戦争後から大恐慌まで)の南部は,奴隷制プランテーションの再編形態とされる小作制プランテーションと北部の巨大な生産力との狭間で一定の工業発展をみた。しかも,その工業化は南北戟争後の南部(ニューサウス=新南部)の再建と貧困克服の手段として多いに期待されていた。しかし,工業化の過程はこうした期待とは逆に「貧困と人種差別」の南部を固定化することに積極的に荷担した。こうした南部の有様は一見するときわめて特殊南部的問題のようにみえるが,実はこれは今日の世界,特に発展途上国が直面している問題でもある。多くの場合,特殊な地域と考えられてきたアメリカ南部が,実は,優れて普遍的な問題を提起していたと言えよう。
 この時期の南部工業を取り上げるもう−つの意義は,現代アメリカにおける−大産業再配置の進行と関わっている。「サンベルト現象」がその一端を担うものとされ,興隆する南部に衆目が集まったのであるが,急速な工業発展はここでも南部の「貧困と差別」を払拭しえていない。こうした状況を説明するために種々の理由が挙げられてきたが,事態を歴史の脈絡に位置づける研究は限られている。1865−1930年の時期の研究が,現代を理解するためにもまたれているのである。(はしがきより)

目  次

は しがき 
序 研究史の回顧と本書の課題
 I 研究史の回顧
 II本書の課題
第1編 アメリカ南部ピードモント地域の経済構造
 第1章 アメリカ南部ピードモント地域の経済構造
  I はじめに
  II南部経済の位置と構成
  III南部綿業
  IV 南部綿業の労働力源泉
  V 南部綿業と電力
  VI むすび
 第2章 アメリカ南部電力事業の展開
  I はじめに
  II 1920年代の南部電力事業
  IIIジョージアパワー社と前身会社の事業活動
  IV むすび
 第3章 アメリカ南部ピードモント地域とデューク資本
  I はじめに
  II デューク資本とタバコ工業
  III デューク資本と南部綿業
  IV サザンパワー社(後のデュークパワー社)の展開
  V むすび
 第4章 高地ピードモント地域農業の位置と性格(1850−90年)
  I はじめに 
  II 南北戦争後南部棉作の動向
  III 南カロライナ州高地ピードモント地域と棉作
  IV むすび
第2編 アメリカ南部綿業企業の資本蓄積:その2類型
 第5章 南北戦争後の南部綿業に関する「プランター
     工業家」説の検討
  I はじめに 
  II 1865−84年の北カロライナ州綿業資本家の出自 
  III「プランター工業家」五家族の再検討
  IV むすび
 第6章 ホルトー族の綿業企業
  I はじめに 
  II ホルトー族の重要性
  IIIホルトー族の綿業経営
  IV むすび
 第7章 キャノン綿業企業チェーンの形成と統合
  I はじめに 
  II J.W.キャノ ンの商業活動
  III キャノン綿業企業の展開 
  IV むすび

第3編 アメリカ南部綿業における労働と労働争議,人種差別

 第8章 アメリカ南部綿業と児童労働
  I はじめに
  II 南部綿業における児童労働=
  III 児童労働と南部綿業の性格位置
 第9章 アメリカ南部綿業における労働争議
  I はじめに 
  II 1886年オーガスタ綿業ストライキ 
  III 1929−31年の綿業ストライキ 
  IV 争議時に資本の専一的支配を支えた諸要因
 第10章 南部綿業と人種差別
  I はじめに 
  II 南部綿業の黒人雇用差別 
  III南部綿業と黒人投票権剥奪

参照文献一覧
索引

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