既刊案内2006年11月1日発売

仙田久仁男(島根大学生物資源科学部)

 経済学における諸法則

A5判上製 360頁 本体 3200円

発売中 

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 経済学のような社会科学に見られる法則は,人間社会のなかで生まれるものであるから,いうまでもなくそれは人間が作りだしたものである.したがって自然科学の法則のようにその成立に人間が全く関わらないというものでは決してなく,常にその大前提に人間の行動が存在している.そしてそれを人間が意識するかしないかに関わらず,客観的に見てみると結果としていつの間にかその行動が法則として見られるものになってしまっているということである.
 法則によっては,その存否をめぐって諸家の意見対立も数々あった.ある法則の成立が主張されると,それの存在を認める人と認めない人とが生まれるわけである.経済学の学説史上に見られる大きな論争は常にこれに関わって発生してきたといっても過言ではない.また法則の中には,一時的には多くの人々によって注目されることがあったとしても,後になると殆ど触れられなくなってしまったというものもある.決してなくなったわけではないが,時代の移り変わりによってそういうこともあり得るのである.
 本書での私の課題は,私の知るそのうちの主要な幾つかについて,なぜそれが発見されたのか,及びそのことによってそれが社会に与えた意義と貢献は何であったかを問うことである.

目次

第1章 経済学における諸法則一その分析視点一
 第1節 はじめに
 第2節 経済学の問題意識とそれが科学として成り立つ根拠
 第3節 以後の経済学の同様な問題意識とその展開
 第4節「マルクス主義経済学」の補足一日本における現実への対応一

第2章「マルクス主義経済学」の方法論
 第1節 はじめに
 第2節「弁証法的論理学」の概要
 第3節『資本論』における論理学
 第4節 いわゆる「宇野理論」について
 第5節 まとめ一経済学における論理学一

第3章『資本論』における「価値法則」の証明
 第1節 はじめに
 第2節 『資本論』冒頭の「商品と貨幣」論
 第3節 「労賃」額以上の価値生産の証明
 第4節 資本制生産の出発点における「前貸しされた価値」の源泉に関して
 第5節 生産価格の規定
 第6節 地代に転化する価値の源泉

第4章 日本の農民分解論への評注
 第1節 はじめに
 第2節 わが国の農民分解論を検討する際にとるべき基礎的視点
 第3節 事実の把握
    一一必要な両極への分解は当然の法則であるという正当な見方一一
 第4節 労農同盟論と一体であるべき農民分解論
 第5節 分析の対象は多数の小規模農家だけという限定
 第6節 下層農が生産する農産物の価格規定
     一一労働同盟を提案する経済的な根拠一一
 第7節、農民分解論に代わる「地域格差」論の提起

第5章 独占資本主義論の検討
 第1節 はじめに
 第2節 独占価格の理論
 第3節「国家独占資本主義」の
概念

参考:仙田久仁男の著書
『価値法則の論証』 A5判上製 216頁 2200円
『日本における地域経済学の理論』 A5判上製 286頁 2800円

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